REPORT
まなびのカフェ×comm cafe
未来共創センターは公益財団法人箕面市国際交流協会(MAFGA)と共に箕面市立多文化交流センターにあるcomm cafeで「まなびのカフェ×comm cafe」を開催しました。世界の保存食について五感を使って学び、非常時の活用等について参加者で考えました。
保存食について学ぶ
第一部ではチベットやタイを調査地とするフィールド栄養学研究者の木村友美による食の保存と栄養についてのミニレクチャーと、チベットの長期保存できく主食ツァンパ(ハダカムギの粉)の紹介、韓国出身のイ・ヒョンスクさんによるミッスカル(韓国で定番の雑穀粉のドリンク)をはじめとした韓国の保存食の紹介、タイ出身の中川ナパラウィーさんによる魚の発酵食やエビの砂糖漬けなどのタイの保存食の紹介がありました。イ・ヒョンスクさんが実際にお店でミスカルを購入する動画を紹介してくださったり、中川ナパラウィーさんが持ってきてくださったたくさんのタイの保存食を実際に見たり匂いをかいでみたりしながらお話をうかがうことで、それぞれの保存食の現地でのあり様が見えてきました。
保存食を食べる
チベットのツァンパや、韓国のミスカル、タイの干しエビなどは参加者みなで試食しました。「美味しい!」「不思議な味・・・」といった感想が飛びかい、会場がにぎやかになりました。実際に食べてみることで参加者の山本栞理さんは次のような気付きを得ます。「日本人の味覚に合うもの、似ているものが結構あった。一方、食べきるのが難しいものもあった。この感覚は在日外国人の方が毎日のように感じていることであり、災害時にはより顕著になる。相手の立場を疑似体験できる機会になった。」文化の間の近さと遠さ、多文化社会の難しさが見えてきます。
非常食について考える
第二部のワークショップではグループに分かれて保存食の非常食としての活用について考えました。まずは身近な保存食を思いつく限りポストイットに書きだしました。次に非常時にはどのような非常食が欲しいか、キーワードを大きいポストイットに書いていきました。そしてキーワードにあわせて、大きな模造紙に保存食を書いたポストイットを並べ、マッピングし、最後に全体で共有しました。
ワークショップで広い視野から見る
講師のイ・ヒョンスクさんと中川ナパラウィーさんや大阪大学の留学生、そして子どもから大人まで様々な年代の参加者がそれぞれにとって身近な保存食を挙げていきます。「梅干」「漬物」といった塩蔵食品や、「甘納豆」「干イモ」などのおやつ感覚で食べられるのもの、さらに「カップラーメン」や「レトルト食品」などの加工品など、それぞれの出身地や年代を反映して様々な保存食が挙げられていきます。世界の保存食について学び、実際に食べることで好奇心をかき立てられた私たちはお互いに知らない保存食について教え合いながら、ワークショップを進めていきます。1人では思いつき得なかったアイデアや気づき得なかった視点に出会います。災害時の非常食という観点を追加することで「匂いが少ない」「ゴミが出ない」「あたたかい」等のつらいときにこそ欲しいものの特徴が見えてきます。特徴にあわせてマッピングすることで、どの保存食が非常時に私たちを助けてくれそうか、どのような特徴の保存食があるとうれしいのかといったことがわかってきました。多様な背景を持つ人が協力して取り組むことで新しい発想が生まれていきました。

(文責 木村友美)